政府首脳の言辞がワクチン製造のネック2021年01月19日 11:59

 ブラジルメディア18日の報道によると、国立健康監視庁(アンビサ)は17日、コロナウイルスのワクチンとして緊急使用許可を要請していた「コロナバック」「オックスフォード・ワクチン」の使用を許可しましたが、両ワクチンとも原材料の供給を中国に依存しています。ところがボルソナロ大統領や関係者の中国攻撃がネックとなり、両ワクチンの製造に支障が出ています。

 中国は医薬品有効成分供給の重要国で、「コロナバック」を製造するブタンタン研究所、「オックスフォード・ワクチン」を製造するフィオクルス財団は原材料を中国から輸入します。ところが中国は、大統領らの中国非難が続いているため、ブラジルへの医薬品有効成分送りを遅らせ、ブタンタン研究所、フィオクルスのワクチン製造が遅延しています。

 アンビサが使用許可を出しても、これではワクチン製造が間に合いません。ブラジル政府は医薬品有効成分の中国からの遅れは、「輸出必要書類の作成を遅らせているのが原因」と指摘しています。政府は、書類が滞っている原因を突き止め、改善すべく外交交渉に入るとしています。

 ブタンタン研究所は中国からの2回目の出荷が停止され、原材料の不足を認めています。同研究所は「ブタンタンは1日あたり100万回分を生産する能力を持っているが、原材料がなければ製造できない。我々も中国大使館やパートナーのシノバック社を通じて、中国当局と交渉している」と述べています。フィオクルスも医薬品有効成分が供給されないと、ワクチン製造が出来ないのは同じです。

 中国政府は、大統領の息子、エドゥアルド・ボルソナロ議員が「中国はコロナ騒動を引き起こし、その騒動で儲けようとしている」と非難したことや中国批判を繰り返す大統領に怒り、今回の処置に出ているようです。ブラジル政府首脳が中国批判をやめない限り、ブラジルでのワクチン製造は滞りそうです。

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