ワクチン不足で起きる政府批判2021年01月20日 17:04

 ブラジルメディア19日の報道によると、医療専門家が「新型コロナウイルスワクチンが現時点では不足しており、初めにワクチン接種が予定されている医療関係者、先住民、高齢者の優先グループから更に優先順位を決める必要がある」と指摘しています。

 ワクチン接種は、優先グループから始まっていますが、現在、国内にあるのはサンパウロ州が輸入したワクチン「コロナバック」(中国シノバックとブタンタン研究所が開発)600万回分です。同ワクチンが全国に配布され接種されていますが、ブラジル人研究者たちは「国内には医療従事者だけで少なくとも500万人がいる」と推定しています。ワクチン接種は2回投与が必要なため、医療従事者に接種するだけで1,000万回分が必要になります。

 不足分を補うため国立健康監視庁(アンビサ)は、フィオクルスと協力して「オックスフォードワクチン」(同大学とアストラゼネカ研究所が開発)の緊急使用も承認しました。これを受け保健省は同ワクチン200万回分の接種を命じましたが、これでも「コロナバック」と合わせて800万万回分にしかなりません。

 しかも「オックスフォードワクチン」はまだブラジルに到着していません。先週、飛行機はワクチン受け取りにインドへ向かう予定でしたが、両国政府の行き違いもあり、急遽フライトが中止になりました。アンビサは、連邦政府の計画の欠如を批判しています。

 ワクチン不足から、優先グループの医療従事者の中には事務部門、研究者、管理関係者など直接患者と接触しない人もおり、「ウイルスに直接さらされる人を優先すべき」との声も出ています。ブラジル集中治療医学協会とブラジル緊急医学協会は、「救急とICUの両方で働く医療関係者を優先すべき」と強調しています。

 感染学者はこうした事態を招いたのは「政府がオックスフォードワクチンのみに固執したからだ。コロナバックやその他のワクチンも国家免疫計画に組み込むべきだった」と指摘しています。保健省は、「3億5400万回以上のワクチンを保証している」と声明を出していますが、疑問符を打つ向きもあります。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://ariake-kai.asablo.jp/blog/2021/01/20/9339385/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。