岩塩採掘で地震頻発のマセイオ市=アラゴアス州=2023年12月02日 12:50

 ブラジルのメディアによると、アラゴアス州マセイオ市のムタンゲ地区で地盤沈下が続き、同市は29、30の両日、住民や病院を避難させました。市は岩塩を採掘するブラスケム鉱山の1つが崩壊する可能性もあるとしています。

 ブラスケム鉱山は苛性ソーダや塩ビの製造に使用される岩塩(鉱石から抽出)を1970年代から採掘しており、2018年になって地中の亀裂やクレーターが表面化していました。ブラジル地質調査所は、採掘が原因と指摘する一方、2019年にはピニェイロ、ムタンゲ、ベベドゥロの住民に避難警告を出し、状況の悪化でボン・パルトとファロルの一部も避難する騒ぎになりました。

 採掘開始から同地域では14,000以上の物件が立ち退きを余儀なくされ、約60,000人が影響を受け、今では同地域はゴーストタウン化しています。採掘が土壌不安定の主な原因であると指摘された後、ブラスケム鉱山はムタンゲとベベドゥロ地域の35鉱山を閉鎖し、土壌安定化の対策を開始しています 

 しかし、マセイオの民間防衛隊は、11月だけで5回の地震が発生したこともあり、ムンダウラグーン近くの鉱山が崩壊し、巨大な亀裂が出現する可能性があると警告しています。地質工学の専門家は、ムンダウラグーン近くの鉱山の崩壊は隣接する2つの鉱山にも影響を与え、マラカナン・スタジアムが収まるほどの亀裂が生じる可能性があるとしています。

 ブラジル地質調査所は、民間防衛局が監視しているマセイオ地区に調査チームを派遣、調査を始めました。連邦裁判所は、ボン・パルト地区の危険地域に住んでいる20世帯余りに立ち退きを命じ、近隣の病院では患者を他の医療施設に移送しています。