脱皮できない民進党2017年09月01日 15:40

 民進党の新代表が前原誠司元外相に決まった。下馬評通りの結果だった。反自公の受け皿を考えるなら、前原氏よりリベラルな主張をした枝野幸男前幹事長が野党代表にはふさわしいと思えたのだが、政治の世界はそう単純には割り切れないらしい。

 都議選でも右寄りの人たちが集まった「都民ファーストの会」が、情報開示、都改革、五輪経費削減を旗印に反自公の受け皿として登場、あっという間に都議会の第1党に躍り出た。本来は民進党がその受け皿にならなくてはならないのに、党幹部の政治力の無さでそうはならなかった。有権者はそのときの風で投票行動を決めるので、政党の持つ本来の目的など全く無視して投票する。結果、政治の道筋が大きく曲がってしまうことも少なくない。

 案の定、情報公開を公約にしていた小池都知事は就任1年を待たずに隠蔽体質を露わにし始めている。特別秘書の給料を開示しないと表明したのだ。しかし、世論の厳しい指弾を受け、渋々1400万円もの驚くべき給料であることを開示した。公にしたくないわけである。小池都知事、都民ファが内包していた本当の姿を見せ始めたと言うべきだろう。反自公を表明して多くの有権者の支持を集めながら、結局は自公と同じ道をたどり始めている。

 立ち位置をしっかりとしていない政党は、ブームで多数の当選者を出しても、風が止めば元の木阿弥、少数政党に転落である。民進党も立ち位置を明確にしていた枝野氏の方が将来的には見込みがあると思えたのだが、前原氏の代表就任で、リベラルを望んだ多くの有権者を失望させたに違いない。

 この陰には、票は出せないが口だけは出す,幹部を労働貴族が占める連合の姿が垣間見える。民進党の支援団体といいながら、共産党との共闘拒否を表明、民進党の内部をかき回す。これが自公を有利に導くことが判っているのに、1世紀前の古くさい泣き言を並べ、民進党の役割をねじ曲げようとする。如何にも権力に媚びを売る労働貴族のやりそうなことだ。民進党もこんな団体に頼っているようでは、昔の社会党と全く同じで、万年野党を続けることになろう。もっと国民にコミットした国民市民党を目指すべきである。