原発より目先の利益を優先した県民2018年06月11日 00:03

 安倍首相の今後を占うとされた新潟県知事選挙が、与党候補の勝利で幕を閉じた。与党候補が54万票、野党候補が50万票。その差は4万票だった。私は思いのほか得票が開いたなと思った。接戦と言われていたから、1万票ぐらいの差と思っていた。

 敗因はいろいろとある。今回の選挙が、野党が推し当選した知事が女性問題で辞めたための選挙で、出発時点から野党は不利だった。焦点になるはずだった原発再稼働問題が、与党候補も再稼働に慎重な姿勢を見せ、争点がぼかされた。与党候補から自民、公明といった政党色を消し、県民党を標榜した。与党は政権党であることを活かし、インフラ整備を掲げ、土木建築業者に餌をばらまいた——など敗因はいくらでも指摘できる。

 もともと新潟県は自民党の金城湯池で、その上にこれだけの材料で利益誘導を謀る与党候補に4万票差まで詰め寄ったのは、ある意味快挙ではある。しかし、相手がひやりとするには、1万票差まで追い詰めて欲しかった。自民党の地盤で1万票差まで追い込めば、あるいは永田町を激震させるのに効果があったかも知れない。

 与党候補の勝利で、自民党内部で安倍降ろしが始まる気配はなくなり、分裂の芽も摘み取られた。こうなると行政私物化政権がまだまだ続くことになる。知事選の結果を見ると、次の参議院選挙も、余り期待できそうもない。

 はっきり言って国民の大多数は、永田町という特殊世界で行われている政治には関心も興味もないのだ。それよりも、日本大学の権力争い、ドンファンの怪死、芸能人の離婚が生活に変化を与えてくれる関心事なのだ。