ブラジル望遠

　ブラジルメディアによると、サンパウロ連邦大学が有効性のテストで協力している新型コロナウイルスのオックスフォード・ワクチンについて同大学の研究者が20日、安全なワクチンであり、「期待された効果が見られている」と同ワクチンは有望と発表しました。ワクチンは、一般的な風邪ウイルス（アデノウイルス）を元に開発が進められています。

　オックスフォード大学の担当者は、「私たちが予期していた種類の免疫反応が見られる」と語り、ワクチン開発はほぼ成功したとしています。オックスフォード・ワクチンの特徴は2つあります。一つはウイルスが体内に侵入するとすぐにそれに取り付き、細胞に感染し増殖するのを防ぎます。次いで T細胞（他の感染細胞を識別および破壊できる免疫系の細胞）がウイルスに感染した細胞を破壊します。オックスフォード大学の研究者は、「この2つのシステムが、感染と戦うために補完的に働く」と説明しています。

　WHOは、世界中で160以上のワクチンが開発されているとしていますが、中でもこのワクチンは有望と見ているようです。研究者たちは、「どれだけの量を投与すれば免疫反応が起きるのか、そこらあたりはまだ正確には判っていない」と語りながらも、「ワクチン投与の14日後にT細胞の反応が見られ、28日後にはウイルスを破壊する様子が確認された」としています。。

　ただ、研究者の中には、「ワクチンが新しいコロナウイルスによる感染から人々を保護するかどうかを確認するには、さらにテストを続ける必要ある」と指摘する人もいます。

　同ワクチンの開発には世界中で5万人がテストに参加し、そのうち10％の5,000人（サンパウロで2,000人、バイアで2,000人、リオデジャネイロで1,000人）がブラジルでのテストに参加しています。ブラジルでは第三段階のテストが行われています。

　サンパウロ連邦大学によると、開発がうまく行けば、免疫剤は2021年6月には提供される可能性を示唆しています。