日本人移民が五輪名選手として殿堂入り2019年07月24日 11:06

 サンパウロのニッケイ新聞によると、ブラジル柔道の隆盛に貢献した石井千秋さん(77歳、帰化人、栃木県出身)が20日、ブラジル五輪名選手として殿堂入りが決まりました。

 石井さんは、早稲田大学在学中、東京五輪出場を目指して研鑽していましたが、三次予選で敗退、夢が叶いませんでした。それで一念発起、ブラジルで農場主になろうと大学卒業(1964年)と同時に移民船に乗り、ブラジルへ移住しました。

 ブラジルに着いてからも石井さんはやはり柔道から離れられず、誘われて全ブラジル柔道大会に出場、優勝するという快挙を成し遂げました。これ以後、ブラジルでは負け知らずの柔道選手になりました。

 石井さんは、こうした経緯もあり農場主の夢を諦め、柔道一直線に軌道修正しました。ブラジル国籍がないとオリンピックのブラジル代表にもなれないことから、帰化を決意、1972年ミュンヘン五輪の代表選手になりました。ブラジルではほとんど期待されていませんでしたが、銅メダルを獲得、一気に石井さんに注目が集まりました。

 現在、石井道場の生徒は600人を越え、支部数も6カ所。ブラジル柔道人口も200万人を数えるほどになり、オリンピックではメダル獲得者も多数排出しています。