性的少数者は住みにくいブラジル2019年05月20日 10:58

 毎年サンパウロ市では、世界最大規模のLGBT(性的少数者)プライド・パレード(通称ゲイ・パレード)が開催されていることから、「ブラジルは性的少数者に寛容な国」と見る人が少なくありません。しかし実情は、同性愛者や両性愛者、トランスジェンダーといった人が被害者となった傷害事件や殺人事件が後を絶ちません。

 17日付伯字紙によると、性的少数者の権利侵害などへの関心を高める目的で制定された「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日」だった同日、バイア州のゲイ団体は、メディアで報道されたニュースや警察の記録、当事者(被害者)の情報に基づく調査として、1月1日から5月15日間に141人の性的少数者が死亡したという報告書を発表しました。

 同団体によると、141人のうち126人は殺人事件の犠牲者で、15人が自殺者でした。今年に入ってから23時間に1人のペースで性的少数者が命を落としているとしています。

 18年の同時期には153人が死亡、今年は昨年同時期比で8%減少しています。しかし、殺人による犠牲者は昨年同時期の111人から126人へ14%増加しました。殺人に使用された凶器は、ナイフなどの刃物が39件と最も多く、銃器(22件)、殴打(13件)、絞首(8件)と続いています。