「統一選挙２０１８」で日系議員が激減: ブラジル望遠

　有権者数１億５０００万人による４年に１度の大統領、州知事、連邦議員、州議会議員を選出する全国統一選挙の投開票が７日、ブラジル国内で一斉に行われました。大統領選とサンパウロ州知事選は28日に決選投票が行われますが、連邦議員、州議会議員は当選者がほぼ決まりました。

　日系議員はサンパウロ州、パラナ州、南マット・グロッソ州、アマゾナス州など10州１連邦区（推定）で下院議員、州議員に多数出馬しましたが、日系社会では連邦下院議員（下議）の動向に注目が集まりました。

　８日午後３時時点でサンパウロ州でキム・パトローカ・カタギリ氏（22歳、民主党）、パラナ州で西森ルイス弘志氏（69歳、ブラジル社会民主党）の当選が決まりました。州別に詳しく見ていきます。

【サンパウロ州下議選】
　サンパウロ州下議選（定数70）では、25人の日系人候補が出馬しました。初当選したカタギリ氏が約47万票を集め、日系唯一の当選者になりました。カタギリ氏は活動家、評論家として知られるサンパウロ州サルト市出身の日系３世。２０１５年には、米国の主要誌「ＴＩＭＥ」で世界で最も影響力のある若手の一人に選ばれたこともあります。

　現職は、大田慶子氏（62歳、ブラジル社会党）、安部順二氏（77歳、ブラジル民主運動）が落選、飯星ワルテル氏（57歳、社会民主党）が補欠になりました。

　暴力撲滅を謳っていた大田氏は昨年、汚職防止法案を無力化した修正法案に賛同し批判を浴び、これがが響き６万４９９票で84番目で落選しました。前回繰り上げ当選の安部氏は２万１５１０票で１５８番目。飯星氏は６万６４２８票で79番目、同党補欠２位で繰り上げ当選の可能性が残されています。

　約20年ぶりに連邦下議に出馬した伊波興祐（いは・こうゆう）氏（78歳、社会秩序共和党）は２２６０票で９８４番目で落選しました。伊波氏は、１９９４年にサントス日本人会館返還を求める法案を議会に提出し、今年実現した完全返還に貢献しています。78年にはサン・ビセンテ市長として沖縄県那覇市との姉妹都市提携を行いました。

　サンジョゼ・ドス・カンポス市議だったオオムラ・ナオミ・アメリア氏（58歳、労働者党）は、１１８番目の３万８２００票で落選しました。

【サンパウロ州議員選】
　聖州議員選（定数94）には、29人の日系人候補が出馬し、パウロ・ニシカワ氏（69歳、社会自由党）が２万３０９４票を獲得し、94番目で滑り込みました。州議員ではニシカワ氏が唯一の当選者になりました。

　現職は、西本エリオ氏（55歳）が５万１９１４票を獲得しましたが、党の得票数により１０５番目。羽藤譲二氏（70歳）が約４万１２６０票で１２４番目、キクドメ・マサミ・ペドロ氏（61歳、ポデモス党）が２万４５４１票で１８９番目となり、３氏とも再選できませんでした。野村アウレリオ氏（63歳）は３万９４６４票で落選でした。

　アンドラジーナ元市長の小野ジャミール氏（58歳）は３万１１５７票で１５３番目、モジ・ダス・クルーゼス市副市長の安部ジュリアーノ氏（40歳）は１万９２６０票、現ジャーレス文民警察の坂下エジソン・サトル氏は６９９９票で落選しました。

【パラナ州下議選】
　パラナ州下議選では５人の日系候補者が出馬しました。現職でパラナ州移民１１０周年祭典委員長を務めた西森氏が７万３３４４票で再選されました。
　もう一人の現職連邦下議、高山秀和氏（70歳、キリスト教社会党）は５万３４６６票で落選しました。

　パラナ州議員選（定数54）では、日系当選者はいませんでした。

【その他の州】
　連邦下議選では、南マット・グロッソ州で現職州議員として立候補した瀧本ジョルジ氏（77歳）が約２万６０２５票で落選しました。アマゾナス州のマサミ・ミキ氏（56歳）、ロライマ州のモニカ・イズミ・キヨイ氏（42歳）、パラー州のロベルト・デ・アンドラーデ・シンカイ氏（44歳）、セアラー州のラファエル・トムヤマ・トレド氏（46歳）、連邦直轄区のルリ・サエキ氏（64歳）、マット・グロッソ州のヴァネッサ・トミザワ・バチスタ・デ・ナシメント氏（37歳）、サンタ・カタリーナ州のエドゥアルド・ノブユキ・ウスイ氏（65歳）、リオグランデ・ド・スル州のマキノ・サダオ氏（52歳）、シン・ピント・ニシムラ氏（33歳）は全員落選でした。

【州議員選】
　州議会議員選には、各州で複数の日系候補が出馬していました。ロライマ州議会議員のマサム・エダ氏（30歳）が３８８４票。南マット・グロッソ州のディオネ・マルリ・ガンドルフォ・ハシオカ氏（61歳）が２万１７５４票を集めましたが、26番目（定数24）で惜しくもしました。

　以上、地元メディアの報道です。